Healthy Habits 54_周辺の環境 6
今回は、家の近くの環境と子どもの身体活動との関連を調べた論文を読みました。(※1)
Introduction
幼児期は家や近隣で多くの時間を過ごすため、環境が幼児の健康行動に大きな影響を与える可能性がある。家庭および近隣環境と幼児の身体活動との関連性を明らかにすることが目的。
Methods
ニューヨーク州在住の4~7歳を対象とした横断的研究
男の子32人、女の子27人
・平日 3 日と週末 1 日、加速度計を装着して運動量を測定
・近隣環境の特徴は、各子どもの主な居住地をジオコーディングした後、GISを用いて決定
・2003年の夏(n=3)と秋(n=17)、2004年の春(n=10)、夏(n=20)、冬(n=9)に測定
・地理情報システムを使用して、近隣の環境変数を測定
・モニターは、平日は学校から帰宅してから就寝するまで、休日は朝ベッドから起きてから夜寝るまで、臀部に装着。
子どもたちの住む地域の環境を調べる方法について
GISを使ったデータ収集: 子どもたちの住む地域の情報をGISというシステムで集め分析。
近隣の定義: 子どもの住んでいる場所から800メートル以内を「近隣」と定めた。
住宅密度と道路のつながり: 近隣の住宅の密度や、道路の交差点の数を調べた。
公園やレクリエーション施設の影響: 公園やスポーツ施設の面積が、子どもの体を動かす活動にどのように関係するかを調べるため、近隣の公園や施設の面積割合を計算した。
階層的回帰分析を用いて、家庭および近隣環境に関する情報の追加によって総身体活動の予測が改善されるかどうかを判定
Results
住宅密度が男子の身体活動に強く影響しており、住宅密度が高い場所では男子がより多くの身体活動をしていることがわかった
公園やレクリエーション施設の面積が身体活動に影響を与えることが確認された
これらの要因が加わることで、身体活動の予測精度(R²)が向上した
Discussion
住宅密度の高さは、幼児の身体活動とも独立して関連していた。家々が近いと、幼児の能力や意欲、そして近所に住む友達と遊ぶために子供を歩いて行かせるという親の意思も高まる可能性がある。
研究の限界
公園のある地域で発生する追加の身体活動が公園まで歩いたり公園で遊んだりした結果であるかどうかを同時に測定できない。
親の身体活動の測定を含めなかったため、親の活動行動のモデル化と若者の身体活動との関連性を研究することができなかった。
[都市公園等整備の現況](※2)によると、日本の一人当たり都市公園等面積は諸外国として低い水準のままのようです。子どもたちが安全に遊べる場所が増えていけば良いなと思います。
(※1)Roemmich JN, Epstein LH, Raja S, Yin L, Robinson J, Winiewicz D. Association of access to parks and recreational facilities with the physical activity of young children. Prev Med. 2006;43(6):437-441.
(※2) 国土交通省 都市公園等整備の現況等
Comments