Healthy Habits 53_総論7
今回は、「日本の中学1年生の3歳時のライフスタイルと生活の質(QOL)富山出生コホート研究の結果」を読みました。(※)
Methods
1989年~1990年に富山県内で出生した10177人の子どもが対象
フェーズ1 3歳時 質問票調査(ライフスタイル要因に関するもの)と計測
フェーズ4 中学1年生時 質問票調査(自記式QOL質問票)
1と4のデータはリンクしており、7289人の子どもが完全なデータを回収できた
QOL(生活の質)が「非常に良い」または「かなり良い」と評価された者は良いQOLとし、それ以外は悪いQOLと見なした
ロジスティック回帰分析を用いて、3歳時点の生活習慣と中学1年時におけるQOLとの関係を追跡調査した
Results
・3歳から中学生の間に2352人(24.7%)が追跡できなくなった
・追跡できた人たちは、追跡できなくなった人たちと比べて、
祖父母に世話をされていることが多く、母は定期的に働いており、21-22に就寝し早く起床しており、朝食を定期的にとっていた
・中学1年生時のQOLスコア 「この4 週間、どうでしたか?」
「とても良い」7.8%
「良い」32.1%
「良い悪いは同じくらい」50.2%
「悪い」5.0%
「とても悪い」0.8%
・ベースライン時の人口統計学的因子および家族性因子を調整した結果、
就寝時間が遅い[OR=1.17, P=0.043]
起床時間が遅い [OR=1.19, P=0.039]
睡眠時間が短い [OR=1.15, P=0.061]
運動不足 [OR=1.48, P=0.022]
朝食抜き [OR=1.56, P=0.003]
不規則な間食 [OR=1.43, P<0.001]
インスタントラーメンの頻繁な摂取 [OR=1.49, P=0.007]
は中学1年生時のQOL低下リスクを増加させた。
上記の生活習慣因子(睡眠、身体活動、食習慣)の線形傾向はすべて有意だった。
これは3歳時の好ましくない生活習慣因子と中学1年生時のQOL低下との間に用量反応関係が存在することを示唆。
年齢や性別、BMI、家庭の要因を調整しても、この線形傾向は変わらなかった。
Discussion
リミテーション
・追跡出来なくなった人たちと追跡出来た人たちで生活習慣が異なっている可能性
・3歳時点と追跡期間中のQOLの情報がない
結論
この縦断的研究は、3歳時点での幼児期の生活習慣要因、特に食習慣が、QOLに有意な影響を及ぼすことを示している
3歳のときから中学1年生までは約10年間あります。3歳児に「ライフスタイル」を教えることはできませんので、幼児期から周りの大人が気を配ってあげることが大事ですね。
(※)Wang, H., Sekine, M., Chen, X. et al. Lifestyle at 3 years of age and quality of life (QOL) in first-year junior high school students in Japan: results of the Toyama Birth Cohort Study. Qual Life Res 17, 257–265 (2008).
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