Healthy Habits 37_食事7
第22回で「家族との食事」を取り上げました。
今回は、「家族との食事」において、親の精神的健康に焦点を当てた論文を読んでみました 。(※1)
Introduction
家族との食事は子どもにとって良いメリットがたくさんあるが、親にとってどのようなメリットがあるかはあまり知られていない。
家族の食事の準備には、特に母親にとって多くの時間が必要なので、頻度な家族での食事は親の健康を損ないストレスを増大させる可能性がある。
Methods
アメリカでの横断的調査
2015-2016年の親のサンプル(889人)
・家族での食事の頻度は、週に0-2回・3-6回・7回以上の3つに分類
・社会的幸福指標
・感情的幸福指標
・栄養面の指標
多重回帰モデルを使用して、人口統計学的および世帯の特性をコントロールしながら、
家族での食事の頻度と栄養面、社会的、感情的な幸福度の指標との関連性を調べた
Results
両親の平均年齢は31歳
両親は平均 2.0 人の子供がいると回答し、子どもの平均年齢は 4.6 歳
親の約50%が週7回以上家族と食事をしていると回答
家族で頻繁に食事をするという親の報告は、家族機能の高レベル、自尊心の高さ、うつ症状およびストレスの低レベルと関連していることを示唆(すべてp値<0.001)。
家族での食事の頻度は、果物や野菜の摂取量の増加とも関連していたが(両方とも p < 0.05)、親の体格や栄養面での健康状態指標とは関連がなかった。
家族での食事の頻度と親の健康状態との関連性は、母親と父親の両方で同様だった。
Discussion
今回の研究は横断的なものであるため因果関係は不明。
しかし、補足分析で感情的健康の背景レベルを調整したが結果は変わらなかったので、
矢印の方向としては、家族との食事→→親の健康面 とも考えられる。
Conclusions
今回の研究結果は、家族で頻繁に食事をしている親は、社会的・感情的ウェルビーイングの面でより良い状態にあることを示唆している。 親の精神的ウェルビーイングが子供の健康とウェルビーイングに影響を与えることはよく知られているのでこれらの知見は重要。
子どもと食事をすることは、食事の準備、後片付け、子どもの好き嫌いやお行儀の悪さが目に付く、などストレスになることはたくさんありますが、「家族との食事」は子どもにとってだけでなく、親にとっても大切な時間です。
第22回で取り上げた「at least 1 fruit and 1 vegetable(少なくとも果物1品野菜1品)で良い」(※2)という大らかな気持ちを改めて持って、子どもと楽しい食事時間を過ごしたいものです。
(※1) Utter J, Larson N, Berge JM, Eisenberg ME, Fulkerson JA, Neumark-Sztainer D. Family meals among parents: Associations with nutritional, social and emotional wellbeing. Prev Med. 2018;113:7-12.
(※2) Brown CL, Kay MC, Thompson LA. Eating Family Meals Together at Home. JAMA Pediatr. Published online March 25, 2024. doi:10.1001/jamapediatrics.2023.6669
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