Healthy Habits 7_スクリーンタイム 2
今回は、スクリーンタイムとMRI検査や認知機能(言語や読み書き能力)などとの関連を調べた論文です(※)。2020年にアメリカから報告された比較的最近のものです。
アメリカ小児科学会は、子どものスクリーンタイムの制限を推奨しています。言葉の遅れ、睡眠不足、実行機能や認知機能の低下や、親子の関わりが減る、などの問題が生じるからです。
方法
2017~2018年、3~5歳を対象とした横断的研究
ScreenQ:スクリーンタイムを評価する指標で、点数が高い程スクリーンの使用が多い
認知機能の評価(言語や読み書き能力に関する評価)に用いられたのは、Expressive Vocabulary Test Second Edition(EVT-2)、Comprehensive Test of Phonological Processing Second Edition(CTOPP-2)、Get Ready to Read!(GRTR)の3つの指標。
鎮静薬を使用せずにMRIを撮影。MRIでは、白質を可視化できる拡散テンソル画像を撮影し、fractional anisotropy(FA)とradial diffusivity(RD)というパラメータを用いた。
結果
・47人で検査完了
・メディア使用時間の中央値は1.5時間(範囲は0~12時間)
・28人(60%)は自分のデバイスを保有していた
・19人(14%)の寝室にはテレビまたはポータブルデバイスがあった
・ScreenQスコアは、EVT-2、CTOPP-2、GRTRと負の相関を示したが、この関係は世帯収入を補正すると有意ではなくなった
・ScreenQスコア高値は、言語、実行機能、読み書き能力に関係する白質路において、FA低値とRD高値に関係していた
結論
スクリーンタイムの増加は、言語、実行機能、子どもの読み書き能力をサポートする脳白質路の微細構造の完全性の低下と関連していた
・fractional anisotropy(FA)とradial diffusivity(RD)というパラメータ:通常、成長に伴ってFAの増加とRDの減少が観察される。
・白質:神経細胞の神経線維が走行している領域
・実行機能(executive function):課題を遂行するために行動や思考を制御する機能
この画像結果に因果関係があるのか、この結果が中長期的にどのように推移していくのかはわかりません。しかし、画像技術の進歩によって、視覚的にもスクリーンタイムの過剰がもたらすかもしれない影響がわかったことは、説得力のある根拠になると思いました。
(※)Hutton JS, Dudley J, Horowitz-Kraus T, DeWitt T, Holland SK. Associations Between Screen-Based Media Use and Brain White Matter Integrity in Preschool-Aged Children. JAMA Pediatr. 2020 Jan 1;174(1):e193869.
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